D2CはECサイトを導入すれば済む——。
このように思っている方も多いのではないでしょうか。確かにECサイトを導入すれば消費者に対して直接販売が可能となりますが、これだけではD2Cを実施しているとは言えません。
D2Cを始めるには、まずECサイトとの相違点を確認しておく必要があります。
今回は、ECサイトとの違いを紹介しつつ、D2C専用サイトの作り方を詳しく解説していきます。
D2C導入のポイント|普通のECサイトとはここが違う!
D2Cは一般的なECサイトとは異なるため、導入方法にも違いが現れます。
たとえば、一般的なECサイトには、商品ページとショッピングカートが用意されています。一方のD2Cサイトでは、ECサイトに必要な機能に加え、詳細なブランド解説ページ、ブログ、メルマガ、動画など多様なコンテンツが内在します。
つまり、D2Cサイトを導入するときは、ECサイトの設計時にコンテンツ企画も同時に実施しておかなければなりません。また、D2CとECサイトでは、ほかにも4つの点に違いがあります。
ポイント(1)顧客が共感するメッセージを入れる
D2Cを活用して成果をあげているブランドの特徴として、サイト内に顧客が共感できるメッセージを組み込んでいる点が挙げられます。
ネット通販市場は、2018年に18兆円にまで規模が拡大し、10年前の約3倍に成長しています。そうしたなか、メーカーが消費者に直接商品を販売する「D2C(Direct to Consumer)」がにわかに注目を集めています。しかし、「D2C[…]
特に、D2CサイトのABOUT情報は充実しています。モノづくりのこだわりからブランド設立に至った背景、生産に携わるスタッフ紹介など、D2Cサイトによって多様です。
ブランドの背景が分かるメッセージが記載されていることで、顧客はブランドの価値や理念に共感しやすくなります。
いわゆる「ブランディング(ブランドイメージの創出)」です。
顧客が、「店はどこでもいいからコートが欲しい」と思うようであれば、ブランディングはうまく実施できていません。一方、「コートは絶対にAというブランドで買いたい」と顧客に思ってもらえると、正しくブランディングが行われていることになります。
顧客にブランドを認識してもらうことで、サイトへの流入数やコンバージョン率などに大きく影響しますので、D2Cサイトには共感メッセージを必ず組み込むようにしましょう。
ポイント(2)UXを意識したサイト設計にする
D2CサイトにUX(顧客体験)のコンテンツを設計しておくと、ファンやリピーターの獲得に繋がります。
UXとは、サイトを通じて顧客が得られる体験のことです。たとえば、D2Cサイトに情報ブログが公開されていると、顧客は「知る・学ぶ」といった体験をすることができます。SNSで体験型プロモーションを公開すれば、顧客は楽しい体験を味わえるでしょう。
UXの機会が増えると、顧客に「またこのサイトに来たい」と思ってもらえるようになります。すると、D2Cサイトで扱っている商品・サービスとの接点も増え、コンバージョンにも好影響を与えます。
ポイント(3)UIはできるだけシンプルに
便利で役立つサイトでも、ECサイトとして使い勝手が悪ければ顧客は離反してしまいます。そのため、UI(顧客接点)の面も意識してD2Cサイトを構築しなければなりません。
UIとは、サイトと顧客との接点になるすべての要素を表します。たとえば、フォントやボタン、画像、ショッピングカートなどはすべてUIに含まれます。
UIの良し悪しはサイトの使い勝手に大きく影響を与えるため、できるだけシンプルで使いやすいサイトを心がけましょう。
フォントのサイズや画面の明るさなど細かい部分にも配慮し、UXとUIをバランスよく構築することがポイントです。
ポイント(4)オウンドメディアの仕組みも活用する
D2Cにとって欠かせない要素がオウンドメディアの仕組みです。
オウンドメディアとは、企業が発信するWebマガジンを指します(広義には企業HPや個人ブログなども含まれます)。ブランディングやUXを生み出すにはコンテンツが必要となり、コンテンツの発信にはオウンドメディアが欠かせません。
D2Cサイトを導入する場合、ECサイトと同時にCMS(コンテンツ管理システム)を組み込むのも方法の一つです。ブログのような形でコンテンツを投稿することが可能で、複数のライター間でコンテンツを簡単に管理できます。
記事コンテンツはUXに役立つばかりではなく、SEO(検索エンジン最適化)対策にも効果を発揮します。
検索エンジンの上位に自社コンテンツが掲載されることにより、広告以外からの顧客流入が見込めます。
D2Cサイトの導入方法
- ECサイトの運営方針や戦略を策定
- サイト構築サービスを利用
- サイト設計
- ECカートシステムの構築
- 商品登録
- サイトのテスト運用
- 運用成果の検証と改善
D2Cサイトを導入するには、まずECサイトを構築する必要があります。しかし、単にECサイトを導入しただけではD2Cサイトとは言えないので、前の章でお伝えした4つのポイントを意識して細かい調整を行います。
1.D2Cサイトの運営方針や戦略を策定
D2Cサイトは、「顧客が商品を見て・カートに入れ・購入する」という単純なECサイトの構成とは異なります。
D2Cは潤沢な顧客リストを保有しない小規模事業者が導入することが多いため、「新たに顧客との接点を生み出し・顕在顧客へと育て・安定した売上を確保する」という仕組みが必要です。
この仕組みは自社サイトのあらゆるコンテンツを活用することから、コンテンツマーケティングとも呼ばれます。
コンテンツマーケティングとは、自社のコンテンツを活用して潜在顧客をファン化させ、安定した売上に繋げていく施策です。メーカーから顧客へ直接商品を販売するD2Cビジネスは、コンテンツマーケティングとの相性も良好です。今回は、D2Cビジネスにコ[…]
単に商品ページの構成を考えたり、全体のレイアウトデザインを行うだけでは、満足なD2Cサイトは構築できません。
ECサイトを導入する前に、D2Cサイトとしての全体的な運営方針やマーケティング戦略を考えておく必要があります。
2.ECサイト構築サービスを利用
D2Cサイトとしての運営方針が固まった後は、ECサイトの導入を考えていきます。
ECサイトを作るには、次の5つの方法があります。
- ASP
- オープンソース
- クラウドEC
- パッケージ
- フルスクラッチ
(関連記事:ECサイトの作り方を5種類の構築手段から解説|事業規模別の選び方も)
ECサイト構築用のソフトウェアを利用するASPは、もっとも手軽に作成することができるため、個人事業主から大企業まで幅広く活用されています。ただし、システム変更の柔軟性に欠けるので、自由なカスタマイズにはクラウドECやフルスクラッチが最適です。
利用するECサイト構築サービスによって、導入費用や設計に必要な人員、開設までの時間などが異なります。それぞれのサービス内容を比較して、自社に合ったものを選ぶことが重要です。
3.ECサイト設計
ECサイトの設計方法は、利用するECサイト構築サービスによって異なります。
たとえば、フルスクラッチの構築サービスでは、担当者と綿密な打ち合わせを行ってレイアウトや骨組みを決定していきます。
ASPやオープンソースの場合、あらかじめ用意されている雛形やソフトをインストールし、自社で細かい設定を行っていくことも珍しくありません。
4.ECカートシステムの構築
カートシステム(ショッピングカート)のなかには、初期立ち上げ時に無料で利用できるサービスもあります。しかし、ECカートシステムはコンバージョン率に直結する部分なので、できるだけ高い機能性を持った有料サービスを利用すべきでしょう。
なかでもD2C事業者に圧倒的な支持を受けているのが「EC Force」です。
SUPER STUDIO社が提供している「EC Force」は、広告集計と定期継続率の分析機能を持つ高機能カートシステム。ショッピングカートから集計した顧客データから、自社商品を適切に紹介するLP(ランディングページ)制作や広告提案が可能です。
EC Forceを導入したショップの平均月商は1.5億円を超え、ECカート業界では最高の実績を誇ります。他社カートからEC Forceに乗り換えたECサイトでは、コンバージョン率が309%向上しているそうです。
【EC Force公式サイト】
5.商品登録
次に、自社の商品をECサイトに登録します。利用するECサイト構築サービスによって細かい登録方法が異なります。商品登録は手間と時間がかかる部分なので、効率性を重視してECサイト構築サービスを選ぶことも大切です。
6.ECサイトのテスト運用
ECサイトを公開する前に、必ず運用テストを行っておきましょう。
代引きや後払い、クレジットカードなど決済方法が多い場合、すべての決済方法でテスト購入を行い、途中でトラブルが起こらないか確認してください。
ASPサービスなら、クレジットカード決済のキャンセル機能も用意されており、コストをかけずに運用テストを実施できます。
7.運用成果の検証と改善
サイトの公開後は運用成果の検証を行い、必要であれば改善を加えます。オウンドメディア型のD2Cサイトを構築する場合、Google AnalyticsやGoogle Search Consoleなどの分析ツールは必須です。売上額やコンバージョン率のほか、コンテンツに対するアクセス数や顧客の導線などのデータも検証しておきましょう。
【まとめ】D2Cの導入時にECサイト運営手段を確立しておこう
今回は、D2Cサイトを導入するための7つの手順と構築方法をお伝えしてきました。D2Cは単なるECサイトとは異なるため、自社で活用できるコンテンツまで意識しておく必要があります。
また、無事にECサイトが完成したからといって満足してはいけません。サイトを導入した後は、今度はサイト運営を行っていかなければなりません。
次回は、「D2CでECサイトを運営する方法|必要な8つの業務と機能を解説」をお伝えしていきますので、ぜひそちらの記事もご確認ください。