D2Cを日本で成功させる4つの秘訣|国内D2C企業5社から検証

D2C

ネット通販市場は、2018年に18兆円にまで規模が拡大し、10年前の約3倍に成長しています。そうしたなか、メーカーが消費者に直接商品を販売する「D2CDirect to Consumer)」がにわかに注目を集めています。

しかし、「D2Cといったって何から始めてよいか分からない」という方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、D2Cを日本で成功させるコツをつかむため、国内企業5社の事例を紹介していきます。事例を参考にすることで、D2Cを成功に導いていくことができるでしょう。

今回、各企業のECサイトを検証すると、D2Cの成功に欠かせない4つの秘訣が見えてきました。それぞれ詳しく解説していきます。

広告

日本のD2C企業・ブランド|5社の事例を徹底検証

D2CDirect to Consumer)とは、メーカーが自社開発した商品を、自社のECサイトを通じて消費者に直接販売する方法のことです。

卸売や小売企業を仲介する必要がないため、自社のブランド価値をダイレクトに消費者に訴求できるほか、大胆な商品価格設定や利益率の改善が期待できます。

海外では、D2Cを活用してブランディングや売上増に繋がるケースが増えています。こうした事例を参考にすることで、D2Cで成功するコツをつかみ取ることが可能です。

しかし、海外事例がそのまま日本の経済事情に当てはまるわけではありません。D2Cを日本で成功させるには、国内企業の事例から学ぶことが必要です。

ここでは、D2Cを展開する国内企業を5つ紹介しています。

  • ファクトリエ(Factelier
  • ファブリックトウキョウ(FABRIC TOKYO
  • バルクオム(BULK HOMME
  • ベースフード(BASE FOOD
  • オイシックス・ラ・大地

上記5社は、アパレルから美容品、食品まで、扱っている商品も様々です。以下で詳しく内容をお伝えしていきます。

事例(1)ファクトリエ(Factelier

ファクトリエは、メンズ・レディース・ベビーのファッション商品をD2Cによって販売しています。熊本や京都、岡山などに関連工場を持ち、すべての商品をメイドインジャパンとして打ち出していることが特徴です。

工場直販システムになっているため、ファクトリエの自社ECサイトを通じて直接商品を購入することができます。

ECサイトでは、ファクトリエというブランド背景やモノづくりへのこだわりなどを明記し、徹底してブランディングが行われていることが分かります。商品はどれも高額ですが、ブランディングによって、「質が高く長く着用できる洋服」というイメージが伝わってきます。

また、「今日のアトリエ」というブログを発信しており、コーディネートの紹介や素材の豆知識などが紹介されています。商品購入ページもユニークで、それぞれの商品がブログ調で紹介されている点が特徴です。

このようにブログやコラムをECサイトに組み込むことで、商品の販売ルートを確保するだけではなく、消費者にとって価値のある情報を伝える役割も果たします。消費者にとっては、コーディネートの参考やファッション知識が身に付くため、ECサイト自体が顧客とのコミュニケーションの場となっているのです。

【ファクトリエ公式サイト】

https://factelier.com/

 

事例(2)ファブリックトウキョウ(FABRIC TOKYO

ファブリックトウキョウは、D2Cを利用したオーダーメイドスーツブランドです。従来のオーダーメイドとは異なり、一度店舗で採寸してしまえば、採寸データがクラウド上に保存され、次回からECサイトからスーツを注文することができます。

ファブリックトウキョウでは、ブランド説明やモノづくりへのこだわりが詳しく紹介されており、ECサイトを通じてブランディングが行われています。

オーダーメイドスーツを注文するときは、生地サンプルを取り寄せ、保存してある採寸データから好みの商品を選びます。この時点で、サンプル確認から購入までの購買導線がECサイト上に作り上げられていることが分かります。また、採寸データを永久に保存しておくことで、リピーターの購買導線にも繋がるという仕組みです。

注文画面では、ジャケットのボタン数やベント・ラペルの種類など、リアルな仕上がりイメージを見ながら感覚的に操作ができます。UI(ユーザーインターフェース)が徹底されており、Web上でも商品イメージが分かりやすい点が特徴です。

【ファブリックトウキョウ公式サイト】

https://fabric-tokyo.com/

 

事例(3)バルクオム(BULK HOMME

バルクオムは、男性向けのスキンケア製品を販売するD2Cブランドです。

ECサイトでは、モノトーンやメニューの英語表記などが特徴的で、バルクオムの高級感がうまくブランディングされていることが分かります。

また、ブランド紹介やパッケージデザインへのこだわりなど、「ABOUT」情報が充実していること、ブランドCM動画の配信、商品詳細ページの開発者ストーリー紹介など、ECサイトを通じて徹底したブランディングが行われています。

【バルクオム公式サイト】

https://bulk.co.jp/

 

事例(4)ベースフード(BASE FOOD

ベースフードは、健康食品の宅配サービスを提供するD2Cブランドです。健康維持に必要な栄養素が含まれた「BASE NOODLE」や「BASE BREAD」などの食品が代表的な商品です。

ECサイトの構造はLP(ランディングページ)のように構成されており、ページ上部から下部に向けて「健康食品を食べるメリット」が紹介されているため、消費者のスムーズな購買までの導線が確保されています。

ベースフードがECサイトで販売する商品数は多くありません。「BASE NOODLE」や「BASE BREAD」など、商品点数を必要最小限に絞り込むことで、ECサイト全体が見やすく、UIの向上に役立っています。

また、商品注文ページでは、食品を購入したユーザーのレビューをすべて見ることができます。悪いレビューもすべて公開しているため、それがかえって消費者からの信頼に繋がっているといえるでしょう。

【ベースフード公式サイト】

https://basefood.co.jp/

 

事例(5)オイシックス・ラ・大地

オイシックス・ラ・大地は、新鮮な食材を定期配達するD2Cサービスです。

全国から旬の食材を取り寄せられる「オイシックス」、日本初の有機農産物の宅配サービス「大地を守る会」、有機野菜や無添加食品を宅配する「らでぃっしゅぼーや」の3つのサービスから成り立っています。それぞれのECサイトが用意されているため、消費者は様々な食材から好みのものを選ぶことが可能です。

オイシックス・ラ・大地では、コーポレートサイトでブランド紹介やモノづくりへのこだわりなどの「ABOUT」情報を掲載し、「オイシックス」などの販売ページではシンプルなUIのみで構成されています。

このように、ブランディング用のコンテンツと購買導線が明確に分かれているため、サイト全体が見やすく、商品も購入しやすいというUIの向上に繋がっています。

【オイシックス・ラ・大地公式サイト】

https://www.oisixradaichi.co.jp/

 

国内企業の事例から分かるD2C4つの成功法則

ここまで、日本でD2Cを展開している企業・ブランドを5種類紹介してきました。今度は、それぞれの特徴やECサイトの仕組みなどを振り返って、D2Cを成功させるための法則を解説していきます。

成功法則(1)セールスよりもブランディングに重点を置く

D2Cで成功をおさめるためには、徹底してブランディングを行うことが大切です。

D2Cは、自社で企画・開発した商品を消費者に直接販売できるとともに、商品やブランドのイメージを直接伝えることにも効果的です。

商品やサービスが多様化する現在の日本では、ただ商品を棚に並べていても売上には繋がりません。しかし、ECサイトを通じて商品の魅力やこだわりなどをしっかりとアピールできれば、消費者が興味を持ち、最終的には高い購買率へと繋がっていきます。

先ほどお伝えした5社の事例では、いずれのブランドも「ABOUT」情報などで効果的にブランディングを行っていることが分かります。

また、商品の購入ページでも、無理に商品を買ってもらおうとする姿勢ではなく、あえて控えめの商品アピールが目立っていました。カタログのような商品の見せ方といえます。

従来は、「買ってください」というセールスに偏重した販売姿勢が一般的でした。しかし、これではかえって消費者が敬遠してしまい、販売ページからの離脱に繋がりかねません。

D2Cでは、ガツガツと商品を売ろうとするのではなく、ブランド価値をしっかりと消費者に伝えてから「このような商品あるんですが、どうですか?」と控えめに商品を提示することが重要となってきます。

成功法則(2UXを意識した顧客とのコミュニケーションを行う

D2Cで成功するためには、UXを意識した顧客とのコミュニケーションが大切です。

UX(ユーザーエクスペリエンス)とは、商品やサービスなどを通じて消費者が得られる体験を指します。SNSでユーザー参加型のイベントを開催するなど、こうしたキャンペーンが代表例です。

今回お伝えした5社の事例でも、UXを意識したECサイトが構築されていました。

たとえば、ファクトリエでは、ブログやコラムを定期的に発信し、ECサイト自体が情報サイトの役割も果たしています。商品購入ページにもコラムを掲載し、ECサイトを通じて消費者が「知る・見る・学ぶ」ことを経験できるように工夫されています。

UXが向上することで、たとえ商品を購入しないケースでも、消費者に「またこのサイトに来たい」と思わせることができます。

ECサイトに何度も足を運んでもらうことで商品を知ってもらう機会が多くなり、購買に繋がる可能性を高めることができるのです。

成功法則(3UIを意識した購買導線の確保

ECサイトでは、ブランディングやUXも重要ですが、それ以上にUIの向上が欠かせません。

たとえば、いくらブログやコラムが役立つといっても、「商品を買うまでに手間がかかる」「購入ページが見にくい」ということであれば購買には繋がらないからです。そのため、ストレスなく購入できるUIを構築することが重要となります。

ファブリックトウキョウの事例では、スーツのオーダーメイドという煩雑な購入手続きを、シンプルかつ手軽に注文ができるシステムを実現していました。一度採寸しておけば次回からは店舗に足を運ぶ必要もなければ、各デザインのカスタマイズもワンクリックで済みます。

こうした、「購買までに手間がかからない」「購買までのルートが分かりやすい」という仕組みは、ECサイトでは絶対に必要といえます。

成功法則(4)自社にしかないこだわりのある商品作り

D2Cの成功には、自社にしかないこだわりのある商品作りがカギを握っています。事実、5社の事例でも、「モノづくりへのこだわり」という情報がどのECサイトにも掲載されていました。

独自性のある商品開発を行い、ECサイトを通じてしっかりとブランディングを実施すれば、たとえ高価格の商品でも購買率を高めることができます。反対に、流行を追いかけるだけの低価格商品では他社との差別化(ブランディング)が難しく、安定した売上に繋げることは困難です。

消費者は、決して商品が安いからという理由だけで購買に至るわけではありません。ブランド理念やモノづくりへのこだわりに共感することで商品に興味を持ち、そこから購入に繋がるケースも珍しくないのです。

D2Cでは、こうした理念や思いの共有が容易にできるため、独自性のある商品開発と明確なブランディングを実施していくことが大切です。

 

D2C支援サービス

昨今では、新しい販売チャネルとしてD2Cを導入したいという企業が増えています。

しかし担当者からすれば

何から手をつけていいか分からない!
どれくらいコストが必要?
物流やコールセンターはどうすれば?

などの疑問が山積みです。

そういった企業向けにD2C支援を行う会社も出てきています。

そのうちの一つが株式会社SUPERSTUDIOです。

SUPERSTUDIO社はECForceというカートの基幹システムを開発しており、同時に自社でもD2Cブランドの開発などを行なっています。

そういった自社で培ったノウハウから、業種や事業フェーズに合わせた提案をしてくれるそうです。

何から手をつけていいか分からないという方は、こういったサービスを利用することで、最短で成功に近づけるでしょう。

ecforce | 統合コマースプラットフォーム/EC構築システム

EC/D2Cの売上・利益を上げることに特化したEC構築システム「ecforce」をメインに様々なアプリケーションとサービ…

 

【まとめ】D2Cは豊かな日本でこそ成功しやすい

日本はすでに豊かな生活水準を獲得し、成熟した社会経済へと突入しています。ほとんどの国民が生活必需品には事足りているなか、消費者に「新しく商品を買いたい」と思ってもらうには企業側の創意工夫が必要です。

今回お伝えしたD2Cは、こうした成熟化が進展した日本には最適な仕組みといえるでしょう。ECサイトを通じてブランディングや消費者とのコミュニケーションを行うことで、消費者の購買意欲を促進していくことができるからです。

自社のECサイトを構築するには、決して多額の資金が必要というわけではありません。

中小企業や小規模の事業主でも即実践できる仕組みなので、さっそく取り組みをスタートしてみてはいかがでしょうか。

最新情報をチェックしよう!