ECサイトでチェックすべき8つのデータ分析項目を解説

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D2CECサイトを立ち上げた後、日々の運用でもっとも大切になるものが「データ分析」です。ECサイトは開設したからといって成果が出るわけではなく、取得できるデータを分析・検証することによってパフォーマンスを高めていくことが欠かせません。

しかし、データ分析を実施するうえで、どのような指標を設定してよいか分からない方も多いはずです。そこで今回は、ECサイトの分析に役立つ8つの指標・項目を紹介していきます。

 

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ECサイトのデータ分析はPDCAが基本

ECサイトの売上を拡大させ持続可能な「売れる仕組み」を生み出すには、PDCAサイクルを回す癖付けが欠かせません。

PDCAはすでに広く認知されているビジネスフレームワークなので、「そんなことは当たり前だろう」と思われる方も多いかと思います。しかし、当たり前のことを当たり前に実践している人というのは、案外多くないものです。

ECサイトにおけるデータ分析は、最初に目標数値を設定し、効果を測定して、最終的な運用成果を検証して改善へと繋げていきます。ただ、いくら綿密な計画を立てていたとしても、それを単に実行するだけでは改善には繋がりません。次のデータ分析に改善が見られなければ、同じミスを繰り返す、いつまで経っても成果が出ない、時間の無駄ということにもなりかねないのです。

そこで、もう一度PDCAの考え方をしっかりとつかみ取り、計画から改善までのサイクルがスムーズに循環しているかを確認しておきましょう。データ分析のPDCAを、「何のために行うのか」「誰が担当するのか」「どのような頻度で実施するのか」のルールを決めておくことがポイントです。

Plan(計画)

データ分析の計画を立てていくには、KGIKPIを設定することが大切です。

KGI(重要目標達成指標)とは、ECサイトを運用する最終的なゴールを表します。「月商300万円」のように、必ず指標となる項目(月商、CVRなど)と具体的な数値(300万円、5.5%など)を決めておきましょう。

KPI(重要業績評価指標)とは、KGIを達成するための手段となる数値やデータのことです。たとえば、「月商300万円」のKGIを達成するためには、「CVR4.5%」「ユーザー数(来訪者数)2.2万人」をKPIとして設定するなどです。KPIを複数設定するほど、KGIの達成・未達の原因を検証しやすくなります。

また、KPIを達成するためにもさらに細かい分析指標を設定しておくことが重要です。「CVR4.5%」のKPIを達成するためには、「売上件数」や「ページ滞在時間」などの目標数値にも到達する必要があります。KPIを細分化した指標なので、サブKPIと呼ばれます。

Do(実行)

計画を実行に移す場合は、設定したKGIKPIのデータを残しておくことです。各データはGoogle Analyticsなど分析・検証ツールを利用することで取得できます。定期的に分析したデータを残せるよう、時系列順に整理しておくとよいでしょう。

また、データの数値だけではなく、担当者が気づいた点や計画通りに進まなかった業務などの内容も文章として残しておくことがポイントです。数値だけでは読み取れないことも多いため、計画を実行中のサイトの状態がイメージしやすいようにしておきましょう。

Check(評価)

「月商300万円」というKGIを設定していると、月に1回のペースで目標指標を取得できます。このようにKGIに合わせて評価を行うタイミングを決めておきましょう。

評価は、現れたデータを客観的な数値によって検証する定量分析と、「なぜそのような結果になったか」と考察を重ねる定性分析に分かれます。評価のタイミングで担当者同士で議論を行い、次の改善策の起案に繋げていきます。

Action(改善)

KGIKPIを見直し、どこかに問題点や未達の指標があると課題を提起し、改善策を考えていかなければなりません。担当者同士で複数のアイデアを出し合い、そのなかから最適なものを選びます。そして、再び計画を組み(PlanPDCAサイクルを回していきましょう。

 

ECサイトの売上を高めるデータ分析の方程式

ECサイトのデータ分析におけるPDCAの重要性をお伝えしました。しかし、PDCAを実施するにしても、「どのように指標を設定してよいか分からない」「計画の立て方」が分からないという方も多いのではないでしょうか。

正しく指標を設定するには、ECサイトのKGIに繋がる方程式を知っておくことが大切です。ECサイトの持続可能性を高めるには、サイトからあがる利益額が重要ですよね。そのため、利益をKGIに設定するケースも珍しくありません。

では、ECサイトの利益とはどのように生まれるのでしょうか。利益をあげるために必要な要素を逆算していくことにより、方程式を見つけることができます。

ECサイトの利益をあげる方程式】

利益=売上高-支出

売上高=ユーザー数×CVR(コンバージョン率)×客単価

支出=固定費+変動費

よって、利益をKGIに設定するときは、売上高と支出をKPIに設定することが基本です。さらにKPIを細分化すると、売上高はサブKPIにユーザー数、CVR、客単価が設定でき、支出は固定費、変動費をサブKPIに設定できます。

 

D2Cにおけるデータ分析でチェックすべき8つの項目

ECサイトのデータ分析は、先ほど紹介した方程式に関連する項目を検証していくことが欠かせません。特に、D2Cビジネスはユーザーの直接的なデータを効率的に取得できるため、分析結果を最大限に活用して販売計画に落とし込んでいきましょう。

ここでは、データ分析でチェックすべき8つの項目を詳しく紹介しています。以下の項目を優先的に確認することで、データ分析の精度や効率性を高めていくことができます。

1.利益

ECサイトを運営するうえでもっとも大切な指標は売上高——。このように勘違いしているサイト運営者の方も少なくありません。たとえ年商10億円を超える売上があっても、利益がマイナスであればECサイトを運営していくことは困難です。持続可能なECサイトを構築するためには、やはり利益の数値に視点を合わせることが不可欠といえるでしょう。

また、いくら売上が高くても利益率が極めて低い、もしくは赤字という場合は、ECサイトのどこかに構造的な欠点が隠されていることも多いのです(投資フェーズで赤字を掘るケースは別)。利益をデータ分析の指標に掲げるということは、こうしたECサイトの問題点を見つけるうえでも役立ちます。

2.売上高

ECサイトの運営には利益額が重要ではありますが、もちろん売上高の指標をチェックすることも大切です。

ECサイトの売上高は、主に「ユーザー数」「CVR」「客単価」の3つの要素によって成り立っています。そのため、ECサイトの売上高が計画よりも低いというときは、上記3つの指標のどこかに問題があることを示します。逆に言えば、3つの指標のいずれかを高めることが売上の増加に繋がるということです。

3.ユーザー数

ユーザー(来訪者)数は、ECサイトの力を表す非常に重要な指標です。たとえば、ECサイトのCVRや客単価が低いという問題点を抱えていたとしても、多くのユーザー数を維持できていれば売上減少をカバーすることができます。

ユーザー数はサイト分析ツールで調べることができますが、ほかにもPV(ページビュー数)、平均PVなどの指標も参考にしておきましょう。同じユーザーが何度も自社サイトを訪問することもあるため、リピーターやファンの多いサイトほどユーザー数よりPV数のほうがサイトの力を正確に表します。

4.CVR

CVR(コンバージョン率)とは、ECサイトを訪れたユーザーのうち、どれくらいの割合が商品購入に至ったかを表す数値です。CVRが高いほど効率的な物販ができていることを示します。

CVRを参考にする場合、ほかにも売上件数や直帰率、サイト滞在時間、ページ別離脱率などをサブKPIに設定することが一般的です。

たとえば、サイト滞在時間が長くても離脱率が高い場合はCVRに結び付きにくいことが分かります。滞在時間が長いということはページをじっくりと見てもらえているため、離脱率を下げる仕組み(購買へのもう一押しなど)を考える必要があります。

5.客単価

客単価とは、購入者一人あたりの平均単価のことです。客単価が2,000円だと、1人の購入者につき1回の買い物で約2,000円が消費されていることが分かります。売上高から売上件数を割ることで求められます。

客単価を参照する場合、ほかにも売上件数、商品単価、買い合わせといったデータも検証しておきましょう。

6.支出

売上が高くても必ず利益率の改善に繋がるわけではありません。売上が高く利益率が低いときは、支出に問題がある(支出額が多い)ということを示しています。

支出は「固定費」と「変動費」の2種類に分けることができ、それぞれを見直すことがECサイト運営にとって欠かせません。固定費には人件費や設備利用料(家賃やリース代)、商品原価などがあり、変動費には広告費や外注費などが含まれます。

7.固定費

固定費は毎月必ず一定額が必要なコストなので、支出の見直しを行いやすい項目です。「利用中のサービスや機能でムダなものはないか」「コストを下げる別の選択肢はないか」を基準に固定費を引き下げることができます。

8.変動費

ECサイトは運営方法によって変動費が大きく異なります。たとえば、プロモーションを積極的に行っているサイトであれば広告費が高くなり、ほとんどの業務を社外に委託する場合は外注費の割合が増します。

D2Cビジネスでは、広告の代わりにSEO対策を行うなど、方法次第で広告費を大幅に抑えることが可能です。変動費も固定費と同様、選択肢の有無などを考慮してコストカットを実施していく必要があります。

 

【まとめ】データ分析を細分化するほど改善策が分かりやすい

ECサイトのデータ分析を行うときは、KGIKPI・サブKPIに各指標を設定し、PDCAサイクルを循環させていくことが大切です。より細かい指標を設定しておくほど、データ分析の精度や効率性が高まります。

今回お伝えした8つの項目を参考に、自社ECサイトに合わせたプランを考えていきましょう。プランに沿って実行・評価・改善を繰り返していくことで、サイトの運用パフォーマンスはさらに向上していきます。

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