人気映画やドラマが見放題の「hulu」、定額の音楽ダウンロードサイト「Spotify」、200以上の雑誌が読み放題の「dマガジン」など、近頃はサブスクリプション型のサービスを見かける機会も多くなってきました。
また、D2Cブランドのなかにも、こうしたサブスクリプションを導入するケースが増えています。自社で開発した高品質の商品を安く定期的に提供することにより、顧客と長期にわたって関係を結べる大きなメリットがあります。
今回は、サブスクリプションの仕組みを紹介しつつ、サブスクリプションを活用したD2Cブランド事例を3つお伝えしていきます。
サブスクリプション(定額課金)型のD2Cビジネスとは?
サブスクリプションとは、定額課金型のビジネスモデルのことです。
もともとは雑誌の定期購読サービスを指す言葉でしたが、今ではさまざまな業種に広がりを見せています。たとえば、今ではhuluやNetflixなどの動画配信サービスが代表例でしょう。ユーザーは毎月一定金額を支払うことで、企業が提供するあらゆるサービスを利用できるという点が特徴です。
サブスクリプションはさまざまな分野に波及し、徐々にD2C型ビジネスでも導入が見られます。
D2Cはメーカー直販型のビジネス形態で、卸や小売企業を経由せずECサイトを通じて直接消費者に商品を販売します。2010年にアメリカのスタートアップ企業を中心にして始まり、最近では日本でも「中小メーカーに最適なビジネス形態」として注目を集めています。
国内で展開するD2Cブランドのほとんどは、今まで通り商品を販売してその分の代金を顧客から受け取ります。しかし、海外では徐々にサブスクリプション型のD2Cブランドを開設するケースが増えており、今後日本にも大きな影響をもたらす可能性があります。
「D2C×サブスクリプション」のメリット
D2Cとサブスクリプション型を組み合わせることで、企業と顧客どちらにとってもメリットが生まれます。ここでは、企業と顧客それぞれのメリットを詳しくお伝えしていきます。
企業側のメリット
企業が「D2C×サブスクリプション」を導入することで次の3つのメリットが生まれます。
- 毎月安定した会員からの収入が見込める
- 顧客との長期にわたる関係性を構築できる
- 新規顧客の獲得に繋がりやすい
基本的に、D2Cは顧客との関係性を深め売上を高めていくことが重要です。そのため、顧客データ分析やリターゲティング(再来対策)、価値の高い情報発信などが欠かせません。
サブスクリプションには、顧客とのエンゲージメント強化や新規顧客開拓といったメリットがあり、D2Cと非常に相性の良いことが分かります。そのため、事業を始める際、あらかじめサブスクリプションを念頭に置いておくことも選択肢の一つです。
毎月安定した会員からの収入が見込める
サブスクリプションは、多くのユーザーから「薄く広く」料金を徴収し、安定した収益化が望めます。毎月の売上は「ユーザー数×月額基本料」となるため計算が容易で、売上計画を立てていきやすいメリットがあります。また、ある程度のユーザー数を確保できた状態だと、価格を下げてさらに顧客数を伸ばしていくこともできるでしょう。
顧客との長期にわたる関係性を構築できる
サブスクリプションは、一度契約がとれた場合、顧客との関係性が長期にわたるケースも珍しくありません。顧客との関係性が深まると、その期間中に新規のプロモーションや情報発信を行うことができます。さらに、長期間の顧客データも蓄積されるため、マーケティングや広告運用に活用しやすい点もメリットの一つです。
新規顧客の獲得に繋がりやすい
売り切り型で商品を販売するよりも、定額課金型のほうが思い切った価格設定にできます。毎月安定して売上が計上できることから、1回あたりの料金を下げても採算がとれやすくなるからです。そのため、新規顧客の購入ハードルを下げることができ、顧客獲得にも繋がります。
消費者側のメリット
消費者が「D2C×サブスクリプション」を導入することで次の3つのメリットが生まれます。
- 商品購入の手間を減らせる
- 余分なモノを購入する必要がない
- 気に入らなければ解約も自由
昨今のビジネスの特徴として、企業だけではなくユーザーにとってもメリットがあることが必要不可欠となっています。サブスクリプションは節約や手間の削減に役立つため、消費者のメリット面も全面的にアピールしていくことが大切です。
商品購入の手間を減らせる
サブスクリプションは基本的に、サービスに契約すると定期的に商品が手元に届きます。わざわざショップに行って商品を選び、決済を行う手間もないため、商品購入の手間を減らせる点が大きなメリットです。
余分なモノを購入する必要がない
D2Cブランドのサブスクリプションモデルは、商品の月額レンタルサービスが一般的です。一度使用した商品はサービス事業者に返品し、次の月には新しい商品が届きます。そのため、ユーザーの自宅にはムダな商品が溜まることがありません。その一方で、自分の好きな商品を利用することができるため、自宅のスペースを取ることもなくメリットとなります。
気に入らなければ解約も自由
サブスクリプションサービスに契約したユーザーは、いつでも解約が自由です。「いつでも辞めていい」ということはユーザーの購入ハードルを下げることにもなるため、サービス事業者にとってもメリットとなります。
サブスクリプションを活用したD2Cブランド3選
サブスクリプションをD2Cサイトに落とし込むには、毎月定額で商品を提供できる配送・返還システムやスムーズな決済の仕組みなど、事前にさまざまな体制を構築しておくことが大切です。
そこで、ここではサブスクリプションを活用した3つのD2Cブランドを紹介していきます。海外の事例も含まれますが、非常に参考になるビジネスケースばかりです。
1.DOLLAR SHAVE CLUB
アメリカの男性カミソリメーカーである「DOLLAR SHAVE CLUB(ダラーシェイブクラブ)」は、メーカー直販でカミソリ製品を定期販売しています。ユニリーバによって1,000億円で買収されたことでも話題を集めました。
DOLLAR SHAVE CLUBが提供するカミソリは高品質なものでもなければ、特別な機能を持った製品でもありません。しかし、製造費と広告費を徹底的に抑えることで低価格が実現し、さらに定期的に商品を届けてくれるというメリットも作用し、300万人を超える会員を抱えるほどまでに成長しました。
【DOLLAR SHAVE CLUB】
https://www.dollarshaveclub.com/
2.pressed juicery
pressed juiceryは、コールドプレスジュース(栄養素を保ったまま精製されるジュース)を定額で販売するD2Cブランドです。もともと2010年に創業し40店舗で売り切り型のビジネスを行っていましたが、今ではサブスクリプションに参入し会員数を伸ばしています。
ユーザーの好みに応じて食材をブレンドし、定期的に届けてくれることが特徴です。定期会員にはジュース1本5ドルで提供する最低価格を掲げ、店頭販売よりもサブスクリプションに傾注する姿勢を見せています。
【pressed juicery】
3.BLOOMBOX
D2Cとサブスクリプションを組み合わせた国内ブランドの事例も紹介します。BLOOMBOXは、女性向けの美容製品が毎月4~5アイテムずつ届くサブスクリプションモデルを採用しています。
社内には専門のビューティーアドバイザーが在籍しており、毎月のテーマに沿ってブランドや商品を厳選。ユーザー一人ひとりの特性に合わせて最適な美容製品を届けてくれる仕組みです。
ユーザーにとっては「毎月届く福袋」のような感覚を味わえます。パッケージを開けてみるまで商品の内容が分からないため、ドキドキ・ワクワク感がうまく演出されています。
【BLOOMBOX】
https://www.cosme.net/bloombox/
【まとめ】D2Cビジネスとサブスクリプションの相性は抜群!
D2Cブランドのなかには、自社で開発(または仕入れ)した商品を有効に活用し、サブスクリプションを採用するケースが増えてきました。定額で商品を提供することで顧客と長期的な関係性を結べるため、D2Cと非常に相性の良いことが分かります。
もちろんサブスクリプションと買い切り型のビジネス、または店頭販売などを組み合わせることもできます。
一般的なECサイトにサブスクリプションを導入するだけでも商品の販売スタイルの幅が広がるため、選択肢の一つとしてご参考ください。