ECサイトを立ち上げただけでは、満足な来店者数を確保することはできません。まだECサイトの存在を知らない方が圧倒的に多いからです。そこで広告による集客を考えるケースが多いですが、できるだけ低予算で運用したいという方も多いでしょう。
そのようなときは、広告ではなくSEO(検索エンジン最適化)によって集客効果を高めることをおすすめします。SEOを利用することで検索ユーザーの流入が期待でき、しかも広告ほど高額なコストも要りません。
また、顧客との関係性が重要となるD2Cでは、広告よりもSEOを実施したほうが大きなメリットがあります。今回は、D2CによるSEO実施のメリットと具体的な対策方法を紹介します。
D2CはSEO集客との相乗効果が高い
SEO(検索エンジン最適化)とは、意図的に検索エンジンの上位表示を獲得し、検索ユーザーからのサイト流入数を増やす取り組みのことです。このSEOには、コンテンツ(特に記事コンテンツ)が欠かせません。
コンテンツマーケティングとは、自社のコンテンツを活用して潜在顧客をファン化させ、安定した売上に繋げていく施策です。メーカーから顧客へ直接商品を販売するD2Cビジネスは、コンテンツマーケティングとの相性も良好です。今回は、D2Cビジネスにコ[…]
たとえば、肌荒れに悩んでいる女性の方がいたとしましょう。スマホによるWeb検索が主流になった現在では、「肌荒れ、対策」という検索キーワードでネットから情報を集める人も珍しくありません。
すると、検索結果画面には、肌荒れの対策方法を紹介するたくさんのWebページが表示されます。検索ユーザーはこうして特定のWebページを訪れます。そのなかに自社の美容製品を紹介する情報や関連リンクがあれば、商品に対する興味喚起や商品ページへの誘導が可能になるというわけです。
基本的に、検索結果の上位(1~10位)になるほど視認性とCTR(クリック率)が高まります。SEOは、発信するコンテンツの内容を工夫することで、意図的に検索結果を上位に底上げする仕組みです。
もちろん、「意図的に」とは言っても、10年ほど前に流行ったブラックハット(ペナルティ対象となるSEO対策)を実施するわけではありません。この記事で紹介するのはホワイトハット、すなわち「ユーザーの役に立つコンテンツを用意して正しいSEO対策を行う」ことが基本となります。
ホワイトハットのSEO対策には、大きく分けて内部対策と外部対策の2種類の方法があります。
内部SEO対策
- 検索クエリに適合したコンテンツ設計
- 構造的なタグ設定
- meta(メタ)設定
- 内部リンクの設置
- モバイルフレンドリーなサイト設計
- 画像へのalt属性の付与
- XMLサイトマップ設定 など
内部SEO対策とは、主に自社サイト内の設計や設定を工夫することにより検索順位を高めていく施策です。
検索順位を決める要因は200種類以上にも及び、さまざまな要素によってランク付けされます。特に上記で説明する内部対策は基本となり、SEOに最低限必要な施策といえます。
検索エンジンシェア1位のGoogleは、過去に何度もアップデートを行い検索順位の決定要素を修正しています。現在は「検索ユーザーのニーズを的確に、端的に満たすコンテンツ」が上位にあがりやすく、より顧客の立場にたって内容を考えることが重要です。
外部SEO対策による集客
自社サイト以外の要素も検索エンジンの順位変動にかかわってきます。自社サイト以外にも目を向けることを外部SEO対策といい、内部対策と同じくらい重要な施策です。
外部SEO対策の主な要素は「被リンク」です。被リンクとは、他社サイトから自社サイトに向かってリンクが設置されることを表します。たとえば、情報の引用や画像の出典を行うときは、この被リンク(情報元のリンク)を掲載しなければなりません。
ほかのサイトに被リンクが設置されることとは、すなわち自社で発信したコンテンツが多くの人に役立っている、話題になっているということです。検索エンジンはこれを「コンテンツの価値が高い」と判断し、より上位に被リンク元のページをランク付けしようとします。
SEOの集客効果を活用したD2Cブランド
コンテンツを発信することでSEOによる集客効果が期待できるだけではなく、自社ECサイトに興味を持ってもらうことができます。こうしたユーザーとの接点が増えることで、商品ページ流入やコンバージョン獲得に大きく影響を与えるのです。
事実、成功するD2Cブランドのなかには、自社でオウンドメディアを開き独自コンテンツを発信しているケースも珍しくありません。また、ECサイトの設計と情報発信をうまく組み合わせるケースも目立ちます。
「ファクトリエ(Factelier)」は、メイドインジャパンのアパレル製品を販売するD2Cブランドです。ECサイト内にはコンテンツ量が多く、優れたUX(ユーザー体験)を提供するブランドといえるでしょう。
ファクトリエの特徴は、商品ページを一つひとつ丁寧に作り上げていることです。一つの商品につき、生産背景や素材情報、ディティール、メンテナンス方法などが細かく紹介されています。ブログ調になっているので文字の分量も多く、それだけSEO対策にも効果的です。
D2C向けのECサイトを立ち上げたい方に参考になる点ばかりなので、ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。
【ファクトリエ 商品ページ(ツイードレザーグローブ)】
D2CのECサイトに効果的なSEO対策とは?
D2C向けのECサイトでSEO対策を行うには、「間違った方法」と「正しい方法」を明確に区別しておかなければなりません。間違ったSEO対策を行ってしまうと検索ユーザーの離反を招くばかりではなく、最悪の場合は検索エンジンからペナルティ(掲載禁止)を受けてしまいます。
間違ったECサイトのSEO対策
間違ったSEO対策を別名、ブラックハットといいます。ブラックハットとは、検索エンジンシステムの穴を突いて不正に上位表示を獲得しようとすることです。10年ほど前は現在ほど検索エンジンの精度が高くありませんでしたので、そのスキを突いたブラックハットが横行していました。
たとえば、悪徳業者から大量の被リンクを購入したり、自分で膨大のコピーサイトを用意して互いに被リンクを貼り合う(自作自演)などがブラックハットにあたります。当時は被リンクの重要性が上位表示に大きく影響していたため、このような手法でも通用しました。
しかし、被リンクの購入は、被リンクが重要なそもそもの意図である「有益な情報であるからこそ多くのサイトから被リンクを獲得できる」から逸脱しています。自作自演の場合でも、サイトの複製が主眼となり大したコンテンツが用意されていないため、検索ユーザーには何も役に立ちません。
Googleの信条は昔から今までほとんど変わっていません。それは、「検索ユーザーにとって役立つ情報を分かりやすく提供すること」です。そのため、検索エンジンの精度が向上したいま、過去にブラックハットを実施していた業者のほとんどは姿を消しています。
正しいECサイトのSEO対策
Googleは過去の公式発表で何度も、「検索エンジンではなくユーザーの側を向いてSEO対策を行うこと」と発表しています。今までのブラックハットによる施策は、ユーザーのためではなく、検索順位を高めることだけに目的が置かれていました(広告の収益最大化のため)。
しかし、現在はアルゴリズムも大幅に修正され、検索エンジンが今まで以上にユーザーの検索意図を理解できるようになっています。そのため、コンテンツを発信するサイト運営者側も、ユーザーが望んでいる情報をコンテンツ化することに注力すべきでしょう。
「ユーザーの側を向く」ことは、D2Cにとっても有益です。コンテンツをニーズに応じて発信することで、満足したユーザーはリピーターに成長します。何度もサイトを訪問してくれれば商品をアピールする機会にも繋がり、コンバージョンに結び付く可能性が高いのです。
【まとめ】D2Cの集客はSEOと広告との組み合わせが大切
今回は、SEOの仕組みや正しい対策方法についてお伝えしてきました。最低限の費用で高い集客効果を発揮できるSEOは、D2C向けのECサイトを運営するにも好都合です。
SEOと広告には一長一短があるので、うまく組み合わせて集客効果を最大化することが重要です。