ECサイトの売上や客数が伸びてくると、現在の運営体制では効率性が悪いということは往々にして起こりえます。
特にD2Cビジネスの場合は顧客コミュニケーションが重要となるため、ほかの重要性の低い業務に時間をかけてばかりはいられません。
そこで今回は、D2Cサイトの運営に役立つ8つのツールやWebサービスを紹介していきます。
また、ECサイトを立ち上げたばかりという場合でも、どのようなツールが必要か確認しておくことは大切です。後々ツールを導入するときに既存システムと連動性がとれるよう、必要な業務や機能を検証しておきましょう。
D2CのECサイト運営に必要な5つの業務
D2C向けのECサイトを運営するときは、主に次の5つの業務を行う必要があります。
- ECサイト制作
- 運営管理
- マーケティング・プロモーション
- 顧客対応・コミュニケーション
- 会計・スタッフ管理
ちなみに、一般的なECサイトと比べると、D2C向けのECサイトのほうが必要な業務量は多くなりがちです。D2Cは顧客との関係性を重視するビジネス形態なので、一般的なECサイトよりもマーケティングや顧客対応、コミュニケーションに割く時間も増えます。
1.ECサイト制作
D2Cを始めるうえで、まず始めなければならないのがECサイトの制作です。メーカー直販型のビジネスは、ECサイトがあって初めて商品を効率的に消費者に届けることができます。
ECサイト制作には、開発会社やサービス提供業者に依頼することが一般的です。サービスを提供する業者は5つのタイプに分かれ、それぞれ開発費や納期などが異なります。
- ASP
- オープンソース
- クラウドEC
- パッケージ
- フルスクラッチ
(関連記事:ECサイトの作り方を5種類の構築手段から解説|事業規模別の選び方も)
2.運営管理
ECサイトの運営管理は複雑で、次のような種類に分かれています。
- 商品登録
- 商品管理
- 発注管理
- 在庫管理
- 顧客管理
上記5つを総称してバックエンド業務と呼びます。商品が売れた後の対応業務が中心で、商品の発送や購入者への細かい対応など主に事務作業を行います。
商品販売後の業務となるため、販売点数が少ないうちはそれほど大きな負担にはなりません。しかし、商品数や店舗規模が拡大し、売上が堅調に伸びてくると負担が増し、徐々にバックエンド業務の効率性を重視していく必要があります。
3.マーケティング・プロモーション
マーケティングやプロモーションのことをフロント業務と言い、バックエンド業務とは対象的な作業内容となります。フロントは商品が売れる前の状態を指すため、商品を広く世間に認知させ、販売促進を担う業務です。
バックエンド業務とは反対に、販売点数が少ないときほどフロント業務の重要性は増します。売上を安定的に伸ばしていくためには、十分なアクセス数とブランドに対する認知が必要だからです。
4.顧客対応・コミュニケーション
顧客対応やコミュニケーション業務は、D2Cサイトにとって非常に重要な仕事です。お問い合わせへの対応やオンライン接客のほか、SNSを使った顧客との直接的なやり取りも業務に含まれます。
企業規模が大きくなってくるとコールセンターを導入し、業務を外部委託するほうが経営効率が高まります。最近では、低価格で高いセキュリティ体制を持つクラウドコールセンターに注目が集まっています。
5.会計・スタッフ管理
企業規模や売上の大小にかかわらず、必ず必要な業務が会計やスタッフ管理などの仕事です。総じてバックオフィス業務とも呼ばれています。
領収書の保管・管理、キャッシュフローのチェック、変動支出の確認の3点は、最低でも毎日行うことが重要です。個人商店の場合は簡単な帳簿でも管理は可能ですが、組織規模の拡大や売上が伸びてきたときは、より効率的な会計システムが必要となってきます。
D2CのECサイト運営に役立つ8つのツール
D2C向けのECサイトを運営する場合、次の8つのツールが役立ちます。
- CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)
- ECサイト分析・解析ツール
- SNS
- サイト内検索ツール
- カゴ落ち対策ツール
- 通販基幹システム
- 商品登録ツール
- AI接客ツール
それぞれ役割が異なり、業務効率を改善する目的のツールもあれば、エンゲージメント(顧客との繋がり)の強化に役立つものもあります。しかし、導入にはコストがかかるため、自社の規模や予算によって必要なものを精査してください。
1.CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)
CMSとは、自社で発信する情報コンテンツを管理するシステムのことです。たとえば、ECサイトにブログ機能を追加したい場合、CMSを導入することで記事の執筆・編集・公開・管理ができます。
一般的なECサイトではCMSの重要性はあまり高くありませんが、D2C型のビジネスを行うときは必須といっても過言ではありません。ブログやオウンドメディアを開設することで、新規顧客を集める間口を大幅に広げることができるからです。
CMSから発信する記事は検索エンジン(Googleなど)に掲載されます。しっかりとSEO対策を講じていれば上位に表示され、ブランドを知らない潜在顧客でも、検索エンジンからサイトに流入してもらうことが可能です。
2.ECサイト分析・解析ツール
ECサイトに便利な分析・解析ツールは、Google Analyticsです。また、CMSを導入する場合は、Google Search Consoleも検討してください。どちらも自社サイトを保有していれば無料で利用できます。
Google Analyticsでは、ユーザー数やPV、サイト内での動線など基本的なデータを確認できるほか、ヒートマップ解析を活用してECサイトの改善を行えます。
Google Search Consoleでは、コンテンツの平均掲載順位やインプレッション数、CTR(クリック率)などを検証できるので、コンテンツの企画や編集に最適です。
3.SNS
SNSは、顧客とのエンゲージメントの強化やECサイトへの誘導などに役立ちます。ただし、SNSごとに得意・不得意が分かれるため、目的に応じたツールを使うことが大切です。
ツイッターはプレスリリース的な役割に向いています。数あるSNSのなかでももっとも情報拡散力が高いため、新製品リリース、サイト更新情報、他企業との協賛などを発信するときに最適です。
LINEは顧客とのコミュニケーションツールとして抜群の効果を発揮します。ビジネス向けプランであるLINE公式アカウントでは、ユーザーとの1対1トークやタイムライン機能が利用できます。顧客と直接アカウントを繋げられるため、エンゲージメントの強化に役立ちます。
4.サイト内検索ツール
ECサイトで数多くの商品を販売する場合、検索ツールが使いにくいとユーザーの離反を招きかねません。ECサイトにとってサイト内検索ツールは非常に重要で、スムーズに商品ページにたどり着く機能は必須です。
「probo EC」は、ECサイトに特化したサイト内検索ツールで、ビジネスサーチテクノロジ株式会社が提供しています。オートコンプリート、スペルチェック、パンくずリスト、絞り込み検索など多機能に対応しており、大手企業を中心に800社以上が利用しています。
【probo EC】
https://www.bsearchtech.com/products/proboec/
5.カゴ落ち対策ツール
カゴ落ちとは、ユーザーがショッピングカートに商品を入れたままECサイトを離脱してしまうことです。カゴ落ち対策ツールを利用することで、離脱したユーザーをサイトに引き戻すことも可能になります。
「CART RECOVERY(カートリカバリー)」は、カゴ落ちメールとカゴ落ちリマーケティング広告でユーザーに再訪を促すツールです。ECサイトに計測タグを貼るだけで導入できる(月額費用はかかります)ので、ほかの重要な業務の時間を割く必要もありません。
【CART RECOVERY】
6.通販基幹システム
通販基幹システムとは、ECサイトの運営に必要な情報を統合的に管理できるシステムのことです。ほとんどのサービスがパッケージ型となっており、システムを導入するだけで顧客・注文・売上管理まで一貫して業務を行うことができます。
「C.Next」は、膨大な機能を兼ね備えたフルフィルメント(業務全般)型の通販基幹システムです。通販基幹システムに備わっている複数の管理システムのほか、決済サービスとの連携、プロモーション、ECモール連動などの機能が揃っています。
【C.Next】
7.商品登録ツール
ECサイトの運営では商品登録に多くの時間がとられるということも珍しくありません。また、CSVが苦手で、商品名の変更や販売価格の計算を手動で行っている担当者も多いでしょう。
「item Robot」は、専用の管理画面で商品内容の変更ができ、そのままECサイトにアップロードすることができます。面倒なCSVに触れる必要もなく、画面上で感覚的に操作できる点が特徴です。ネットモールからECサイトを拡張する場合も、「item Robot」
に保存しておいた商品データをそのまま併用することができます。
【item Robot】
https://www.hunglead.com/products/item-robot.html
8.AI接客ツール
顧客とのコミュニケーションや接客にAIを活用することで、業務効率を大幅に改善できます。たとえば、ECサイト内にチャットボックスを配置してボット(bot)化するほか、ユーザーの行動に合わせて自動的にクーポンを配布するサービスなどがあります。
「FLIPDESK」は、サイト訪問者のアクセス元やページ閲覧履歴、過去の滞在時間などを分析し、一人ひとりに合わせた接客を行います。接客には来店感謝のメッセージ、バナー、クーポン、チャットなどがあり、顧客満足度を高めるツールとして適しています。
【FLIPDESK】
【まとめ】ツールを導入してD2Cの運営を楽にしよう!
ECサイトの規模が小さいときは、運営者や担当スタッフだけで十分に効率的なサイト運営を行うことができるでしょう。しかし、販売点数や売上の増加により、ツールを使ったほうが業務効率が高まることも珍しくありません。
今回は、D2Cサイトに役立つ8つの便利ツールを紹介してきましたが、もちろんすべて導入する必要はありません。予算や商品点数などに合わせて、自社に最適なツールをご検討ください。