スタートアップ企業の場合はECサイト設立の経験も少なく、D2Cビジネスの始め方に戸惑うケースも多いのではないでしょうか。
D2Cは一般的なECサイトに比べて複雑な設計が必要となるため、開発会社に依頼する前にしっかりと準備を行っておかなければなりません。
今回は、D2C向けのECサイトを立ち上げる前の10の準備リストをお伝えしていきます。このリストに従ってRFP(提案依頼書)を用意しておくと開発会社への依頼もスムーズで、プロジェクト期間を短縮することが可能です。
D2Cビジネスを始める手順
D2Cを開始するときは、まずECサイトを立ち上げることから始めていきます。D2Cを意識しない一般的なECサイトと構築方法はほとんど同じですが、何点かD2Cに必要な機能を取りそろえる必要があるので注意してください。
スタートアップ企業がD2Cビジネスを始める場合、ECサイトを立ち上げた経験がないというケースがほとんどです。そのため、以下の手順をしっかりと確認したうえで行うようにしてください。
1.ECサイト構築サービスに登録・申し込み
ECサイトを作成するには、次の5つの方法で進めていくことが一般的です。
- ASP
- オープンソース
- クラウドEC
- パッケージ
- フルスクラッチ
利用するECサイト構築サービスによって必要な費用や開発スケジュールが異なります。
それぞれの特徴やメリット・デメリットは、「ECサイトの作り方を5種類の構築手段から解説|事業規模別の選び方も」をご確認ください。
D2C向けのECサイトを作る場合、商品点数が増加するにしたがって、コンテンツの拡充や新しい管理システムの導入が必要になるケースも珍しくありません。
そのため、ECサイトを設立した後でもカスタマイズが行いやすいものを選んでおきましょう。
2.ECサイトの設計
利用するサービスによっては、ECサイトの構築のほとんどを開発会社に依頼することになります。この場合はプログラミングなどの専門的知識がなくても、開発会社側がすべての設計を行ってくれます。
しかし、無料ASPの場合など自分でサイト設計まで行わなければならないケースもあります。EC構築サービスを選ぶときは、費用面のコストばかりではなく、サイト設計を行う人材やノウハウの有無にも注意してください。
3.商品登録
ECサイトの設計がある程度進むと、今度は商品登録を行っていきます。商品管理システムへのSKUや管理番号の登録、商品ページの作成、商品に関するコンテンツの作成などが中心的な業務です。
4.ECサイトの運営テスト
最後にECサイトを公開する前に、必ず運営テストを行っておきましょう。物販用のサイトは、特定の商品を購入してテストを行うことが一般的です。実際に顧客の立場になってみることで、UIの欠点や決済システムの不備などを発見することに繋がります。
スタートアップ企業がD2CのECサイトを立ち上げる10の準備リスト
ECサイト設立ノウハウのないスタートアップ企業の場合、開発会社に依頼する前に必ず事前準備を行っておきましょう。初めてECサイトを立ち上げるときは、以下の10個の準備リストが役立ちます。
- 予算の策定
- 開発~運用スケジュールの決定
- 利用するECサイト構築サービスを選ぶ
- 開発会社への見積もり依頼
- 業務フローと担当者の確認
- サイトデザインの決定
- サイトシステムの決定
- D2Cに必要な項目の設定
- 商品のデータ登録
- サイト公開の案内・最終チェック
上記で考えた内容は文書として残しておきましょう。この文書のことを「RFP(提案依頼書)」と呼び、開発会社に依頼するときに大きな助けとなります。開発会社はRFPを参考にしてサイト設計をスムーズに進めていけるからです。
1.予算の策定
ECサイト構築に必要な費用については、ASPやクラウドECなど各サービスの平均費用相場を参考にします。無料ASPやオープンソースは費用がほとんどかからない場合が多く、ビジネスを開始して間もないスタートアップ企業に適しています。
ECサイト構築サービスは、初期費用と月額費用が別々に発生します。初期費用はサイト導入や設計に必要なもので、一時的な出金ではありますが高額になりがちです。サービスによっては月額利用料をとられることもあるので、予算として計算しておくようにしてください。
2.開発~運用スケジュールの決定
ECサイトは、プロジェクトの策定からサイトリリースまで少なくても3ヶ月の期間が必要です。開発期間中はECサイトから売上があがることはないので、ある程度資金に余裕を持っておくことをおすすめします。
開発~運用開始までのスケジュールについては、以下を参考に計画を練ってみましょう。
- 1週目:プロジェクト策定・考案
- 2週~3週目:開発会社やECサイト構築サービスの選定
- 4週~6週目:要件定義・開発スケジュールの打ち合わせ
- 7週~12週目:ECサイトの設計・開発
- 13週~14週目:ECサイトのテスト運用
- 15週~16週目:対応スタッフのトレーニング・シミュレーション
- 17週~:ECサイトリリース
3.利用するECサイト構築サービスを選ぶ
ECサイト構築サービスや開発会社を選ぶときは、D2Cサイトとして必要な機能を事前に想定しておきましょう。
たとえば、コンテンツ発信用のオウンドメディア、データ解析用にCRM(顧客関係管理)システムなどが代表的です。サービス会社によって提供されるECサイトの機能は異なり、機能がなければ自社で用意しなければなりません。その場合、ECサイト以外に複数のシステムソフトを使うことになるため、互換性をチェックしておくことが大切です。
4.開発会社への見積もり依頼
開発会社のコストや機能性、提案内容などを比較するために、依頼前に一括見積もりを行います。ECサイトのデザインやレイアウトを複数のパターンに分け、パターンごとに見積もりを行うこともできます。
ECサイト構築サービスごとのおおよその費用相場は次の通りです。この基準を参考に、より正確な見積もりを依頼しましょう。
- ASP:0~20万円
- オープンソース:0~100万円
- クラウドEC:数十万円~100万円超
- パッケージ:数十万円~数百万円
- フルスクラッチ:1,000万円以上
5.業務フローと担当者の確認
開発会社にECサイトの構築を依頼する前に、必ず業務フローの確認を行っておきましょう。たとえば、受注後のバックエンドでの処理の仕方、配送方法、各システムでのデータ確認方法などのチェックが必要です。業務フローが明確に定まっていないと、受注のたびに社内組織が混乱する原因となります。
また、顧客対応やデータ管理、出荷などの担当者を決めておくことも重要です。現場の作業内容を知る担当者を集めて、業務フローと交えて詳しく議論を行います。
6.サイトデザインの決定
ECサイトの顔となるサイトデザインを決めていきます。D2C向けのECサイトの場合はUIが重要となるため、ユーザーが使いやすいボタン・リンクの配置や文字の大きさなどを心がけましょう。
ECサイトは、あえてレスポンシブ対応にせず、Webとモバイルで別々のデザインを設定することも珍しくありません。モバイル向けのユーザーのことも考えて、スマホやタブレットごとのデザインも決めていきます。
7.サイトシステムの決定
サイトに導入するシステムは、ECサイトに必要な機能から決めていきます(受注管理システムやECカートシステムなど)。ECサイト構築サービスによっては、自社でシステム設計を行わない場合でも、提携する企業が提供するシステムを紹介してくれることもあります。
8.D2Cに必要な項目の設定
D2Cは顧客との関係性を重視するビジネスモデルです。もしECサイトに必要な情報が書けていれば、訪れるユーザーの信頼性を損ねてしまいます。D2C向けのECサイトを開設するときは、最低限次のような項目を用意しておきましょう。
- プライバシーポリシー
- 運営者情報
- 特定商取引法の表記
- ABOUT情報(ブランド紹介など)
9.商品のデータ登録
データ登録を行う場合、商品名や価格、管理番号、商品画像といった情報が必要です。特に管理番号が設定されていないと、受注管理や配送管理のデータ連動も難しくなります。ECサイトを開設するのをきっかけに各商品に管理番号を設定するようにしましょう。
10.サイト公開の案内・最終チェック
サイトを公開するタイミング・時期、ユーザーへの案内方法は事前に決めておきます。また、これまで作成してきたRFPを見直して最終チェックすることを忘れてはいけません。
D2C支援サービス
昨今では、新しい販売チャネルとしてD2Cを導入したいという企業が増えています。
しかし担当者からすれば
どれくらいコストが必要?
物流やコールセンターはどうすれば?
などの疑問が山積みです。
そういった企業向けにD2C支援を行う会社も出てきています。
そのうちの一つが株式会社SUPERSTUDIOです。
SUPERSTUDIO社はECForceというカートの基幹システムを開発しており、同時に自社でもD2Cブランドの開発などを行なっています。
そういった自社で培ったノウハウから、業種や事業フェーズに合わせた提案をしてくれるそうです。
月額3万円という低額から始められるのも魅力ですね。
何から手をつけていいか分からないという方は、こういったサービスを利用することで、最短で成功に近づけるでしょう。
【まとめ】ECサイト立ち上げは必ず準備を済ませておくこと!
D2C向けのECサイトを開設する場合、多くの時間と手間を要します。そのため、今回お伝えした10の準備リストを参考に、事前に十分な準備と対策を行っておきましょう。
しっかりと準備を行うためには、ECサイト構築サービスについての情報収集も大切です。特に開発費用やカスタマイズの柔軟性、納期などは事前にしっかりと確認してください。