D2C向けのECサイトを立ち上げるとき、参考となるサイトがあれば非常に便利です。他社の事例を参考にして、UIやUXツールの開発やコンテンツの作成に活かしていくことができます。
今回は、業界別にD2Cブランドを10社紹介していきます。
ファッション・美容・食品など、企業が扱う商品によってサイト構成が異なるため、それぞれを詳しく検証してサイト作りに活用してください。
D2Cブランド(1)レディースファッション業界
ファッション・アパレル業界は、D2Cへビジネスモデルを転換するブランドが少なくありません。ファッション業界は従来、メーカーから卸業者を中継して小売企業へと至る商品の流れが一般的でしたが、コスト削減やブランド力強化の観点からD2Cに注目する企業が多いのです。
ここでは、ファッション業界のなかでもレディース製品を扱うD2Cブランドを3社紹介していきます。
1.COHINA
COHINAは、身長150cmでSサイズ向けの女性のためのアパレルブランドです。小柄な女性でもピッタリ着用できる商品に限定することで、該当する顧客層から高い支持を集めています。
今までは小さい洋服も市場に販売されていましたが、デザインが子供っぽかったり、シンプルで地味といった商品がほとんどでした。COHINAのアイテムは着回しに便利な綺麗めカジュアルなテイストなので、小柄な女性でもオシャレに着こなすことができます。
ECサイトでは、ABOUT情報によるブランド価値の訴求、ブログによる情報発信、インスタグラムを通じたUX(ユーザー体験)の提供が行われています。
150cm前後の低身長・小柄女性のためのファッションブランドCOHINA(コヒナ)、STRATA(エストラータ)の公式サ…
2.over E
over Eは、バストカップが大きくて悩む女性のためのアパレルブランドです。「なかなか合う服がない」「普通の服では太って見える」という悩みを解決するため、細部のディティールに工夫を凝らした商品が販売されています。
ECサイトには、ストーリー性が高く、同じ悩みを持つ女性が共感しやすいブランド紹介が記載されています。また、「みんなのフォトレビュー」やツイート紹介、メルマガなど豊富なコンテンツがあり、D2Cブランドらしいサイト構成です。
3.Rili.tokyo
Rili.tokyoは、女性向けファッションブランド「Rili STORE」のオウンドメディアです。最近は、UXを意識してオウンドメディアを開設するブランドが増えています。
Rili.tokyoでは、ファッションや美容、ライフスタイルといったカテゴリー別にトレンド写真(主にインスタ)がまとめて紹介されています。文章コンテンツだと読むのが面倒で敬遠する女性も多いなか、写真を中心にしたコンテンツでファンの心を掴んでいます。
D2Cブランド(2)メンズファッション業界
メンズのファッション業界は、メーカー直販型のブランドが多く、D2Cの基本的な考え方をシンプルにECサイトへ落とし込んでいるケースが目立ちます。D2Cサイトの雛形として参考にしやすいといえるでしょう。
ここでは、ファッション業界のなかでもメンズ製品を扱うD2Cブランドを3社紹介していきます。
1.ファクトリエ(Factelier)
ファクトリエは、大成功をおさめたD2Cブランドとしても有名です。メンズ商品を中心に、高品質なレディース、ベビー商品まで扱っています。
販売する製品はすべてメイドインジャパンで、ECサイトのところどころでモノづくりへのこだわりが紹介されています。商品ページは一つひとつ丁寧に文章コンテンツが用意されており、読んでいるだけで素材やメンテナンスの知識を得ることができます。
ファクトリエは日本製かつ高品質でこだわりの商品だけを届けるメイドインジャパンのファッションブランドです。工場と直接提携し…
2.ファブリックトウキョウ(FABRIC TOKYO)
ファブリックトウキョウは、Web上で注文が完結するオーダーメイドスーツブランドです。採寸のために一度店舗を訪れる必要はありますが、採寸データはすべてクラウド上に保存され、次回オーダー時に利用することができます。
オーダーメイドスーツでは生地の品質や色・柄にこだわるユーザーも珍しくありません。ファブリックトウキョウのECサイトでは生地の情報が非常に詳しく紹介されています。また、生地サンプルを取り寄せることもできるので、購入時のトラブル(思った色と違うなど)を抑えることができます。
FABRIC TOKYOは、ビジネスウェアのカスタムオーダーサービスです。クラウド上にサイズデータを登録し、高機能素材の…
3.10YC
10YCは、Tシャツやニット、ジャケットなどベーシックなメンズ商品を販売するD2Cブランドです。
福井プレスや金井染工など複数の工場と直接やり取りを行い、メーカー直販で低価格を実現しています。ブログでは工場や職人、生産工程などの情報を積極的に発信し、ユーザーがモノづくりの現場に触れられる仕組みを行っています。
また、ECサイトの商品ページには、生地や付属代、裁断・縫製の工賃などのコストがすべて公開されています。信頼性の高いUXを提供していることが10YCの特徴です。
10年後も着たいと思える洋服で着る人も作る人も豊かに。 10YCは、製造委託先の工場と直接取引し、品質の良い=長く着続け…
D2Cブランド(3)ファッション業界(小物・雑貨)
ファッション業界では、小物や雑貨ブランドでもD2Cへの転換が進んでいます。小物ブランドはレザー製品など取り扱いが難しい素材を使うことが多く、そのメンテナンス方法をコンテンツとして発信するケースが目立ちます。
ここでは、ファッション業界のなかでも小物・雑貨を展開するD2Cブランドを2社紹介していきます。
1.土屋鞄製造所
土屋鞄製作所は、バッグや財布などのレザー製品を販売するアパレルブランドです。ECサイトのABOUT情報では、メイドインジャパンへのこだわりやブランド設立の背景など、ロイヤリティ向上に役立つ内容が記載されています。
サイト内には「読み物」というコンテンツページがあり、豊富な記事数が用意されている点が特徴です。バッグの選び方や財布の選び方といった商品紹介の記事だけではなく、「春の七草を使った季節の楽しみ方」や「贅沢な時間の過ごし方」など、商品に関係のない話題を提供し読者の興味を刺激しています。
2.Oh My Glasses
Oh My Glassesは、さまざまなブランドのメガネやサングラスを扱う人気ブランドです。Web上の注文でも自宅で試着してから購入できるため、ユーザーは気軽に利用できるメリットがあります。
Oh My Glassesでは、YouTubeで専用チャンネルを開設している点が最大の特徴です。「メガネ屋が教えるメガネの選び方」「近視を進行させる3つの習慣」など、販売する商品に関連する動画コンテンツを豊富に用意しています。
オーマイグラス(Oh My Glasses)公式サイト。全国店舗では独自の顔型診断により似合うメガネのご提案を行っていま…
D2Cブランド(4)美容業界
美容業界では、独自に開発したこだわりの美容製品を販売するD2Cブランドが目立ちます。ファッション業界と比べて扱う商品点数が少なく、ブランディングを有効に活用して一つひとつの商品価値を高めていることが分かります。
ここでは、美容業界のD2Cブランドを3社紹介していきます。
1.バルクオム(BULK HOMME)
バルクオムは、上質なメンズ用化粧品を販売するD2Cブランドです。「男性の肌は女性よりも傷つきやすい」点に着目し、べたつかずさっぱりとしたメンズ向けの化粧品を取り扱っています。
バルクオムのECサイトでは、ブランディングが効果的に役割を果たしています。白と黒で統一感のあるデザイン構成、高級感のあるブランドCM動画、ブランドイメージを伝えるインスタグラムの情報発信などが中心です。
さぁ、顔をあげてゆこう。バルクオムとともに。男たちの本気のスキンケアで、なりたい自分を手に入れよう。 …
2.mixx
mixxは、「オーダーメイドシャンプー&トリートメント」という独特のコンセプトを持って生まれたブランドです。簡単な質問に回答するだけで、約2万通りのなかから自分にぴったり合ったシャンプーを作り出すことができます。
mixxのECサイトはUIが秀逸です。シャンプーの調合に必要なアンケートは5分もかからず、ユーザーに面倒さを感じさせません。UI設計を行うときに非常に参考となるD2Cブランドです。
オーダーメイドシャンプー【mixx】の公式サイトです。mixxは、あなた自身が約2万通りのカスタマイズから選ぶ全く新しい…
3.MEDULLA
MEDULLAもオーダーメイドシャンプーを提供するD2Cブランドです。mixxと同じく、簡単な質問に答えるだけでオリジナルのシャンプーを作ることができます。
mixxとMEDULLAは同じコンセプトを持つブランドですが、ブランドイメージは正反対です。カジュアルでポップなイメージのあるmixxに比べ、MEDULLAは高級感や上質なイメージを意識しています。
13の質問に答えるだけで、髪質に応じたオーダーメイドシャンプー&トリートメント【メデュラ】をお届け。1つに絞れない髪の悩…
D2Cブランド(5)その他(食品・サプリ・ペット業界)
ファッションや美容業界以外でも、生産者から消費者へ直接商品を届けるD2Cが主流になりつつあります。特に、食品やサプリメント、ペット業界ではD2Cを利用したECサイトが目立ちます。
1.SAKE100
SAKE100(サケハンドレッド)は、国内の厳選された酒蔵とともに開発した価値の高いお酒を販売するブランドです。その蔵でしか作れない唯一無二の日本酒を開発するため、SAKE100にしかない独自商品が中心となります。
商品点数は多くないものの、商品ページには日本酒の味わいや素材、生産者の声など充実したコンテンツが用意されています。長文の文章コンテンツになるため、SEOとしての効果も期待できるでしょう。
日本酒ブランド「SAKE HUNDRED」公式ブランドサイト。最高峰の日本酒で、世界中の人々の『心を満たし、人生を彩る』…
2.FUJIMI
FUJIMI(フジミ)は、オーダーメイド型サプリメントを販売するD2Cブランドです。無料で肌診断を行い、自分に合ったサプリメントを購入することができます。
成分ディクショナリー(成分紹介ページ)、サプリメント一覧などのコンテンツが分かりやすく配置されており、ユーザーはさまざまな情報を参照してサプリメントを作成していくことが可能です。
オリジナルの分析から自分にあった商品をお届けするパーソナライズビューティケア「FUJIMI(フジミ)」。FUJIMIは、…
3.PETOKOTO FOODS
PETOKOTO FOODSは、高品質なドッグフードを定期配送するブランドです。栄養専門獣医師が愛犬一匹ずつを丁寧に検診し、年齢や体重などに最適なドッグフードをオーダーメイドで提供してくれます。
ECサイトには「フード開発レポート」が用意されており、商品開発の裏話などを紹介しています。フレッシュフードの基本的な知識を学ぶこともできるため、UXの向上にも大きく寄与しています。
ペトコトフーズは、「エサからごはんへ」をコンセプトに、ヒューマングレードで新鮮な国産食材をメインに使用した手作り品質のフ…
D2C支援サービス
昨今では、新しい販売チャネルとしてD2Cを導入したいという企業が増えています。
しかし担当者からすれば
どれくらいコストが必要?
物流やコールセンターはどうすれば?
などの疑問が山積みです。
そういった企業向けにD2C支援を行う会社も出てきています。
そのうちの一つが株式会社SUPERSTUDIOです。
SUPERSTUDIO社はecforceというカートの基幹システムを開発しており、同時に自社でもD2Cブランドの開発などを行なっています。
そういった自社で培ったノウハウから、業種や事業フェーズに合わせた提案をしてくれるそうです。
何から手をつけていいか分からないという方は、こういったサービスを利用することで、最短で成功に近づけるでしょう。
EC/D2Cの売上・利益を上げることに特化したEC構築システム「ecforce」をメインに様々なアプリケーションとサービ…
まとめ
今回は、業界別にD2Cブランドを10社紹介してきました。扱っている商品によってECサイトの構成方法に差がありましたが、どのブランドも「ブランディング」「UI・UX」「エンゲージメント強化」の点を重視していることが分かります。
D2C用のECサイトを作るときは、自社商品に合わせて上記ブランドの事例を参考にしてみてください。