D2C向けのECサイトは、見た目の美しさだけではなく、UX(ユーザー体験)を考慮したデザインを心がける必要があります。
今回お伝えする3つのポイントを押さえることで、使いやすく、回遊性の高いECサイトを構築することができます。
ただし、サイトデザインは他社から真似されやすいというリスクも抱えています。同じようなサイトが増えてしまうと、顧客ロイヤリティやブランド価値の低下に繋がりかねません。
そこで、記事の後半では、「D2CのECサイトを真似されない秘訣」を解説します。
D2CのECサイトをデザインする3つのコツ
非常に美しいWebデザインのECサイトでも、イメージしたように売上が伸びないケースも珍しくありません。業績が思わしくない理由として、「消費者はサイトのデザインを見て商品を買っているわけではない」という点が挙げられます。
美しいWebデザインには、オシャレ・かっこいい・センスが良いなど消費者の印象を構築する特徴があります。確かにECサイトにも美しいデザインは必要ですが、必ずしもデザイン性が売上に直結しているわけではありません。
特にD2C向けのECサイトでは、UX(ユーザー体験)を意識したデザインやレイアウトは必須です。たとえば、「商品がどこにあるか分かりやすい」「購入意欲をそそる」。
こうしたUXを意識してサイトをデザインしていくことが、D2Cの成功には欠かせないのです。
D2C向けのECサイトデザインは次の3点に注意しましょう。
- ファーストビューはシンプルに
- 色のコントラストを意識する
- ボタンやリンクは目立たせる
ファーストビューはシンプルに
成功するD2CブランドのECサイトは、いずれもユーザー目線でデザインが構築されています。どんなにデザイン性の高いECサイトだとしても、使いにくさを感じるようでは売上には繋がりません。
特に、ECサイトのファーストビューはシンプルに構成することが大切です。
ファーストビューにあまりにも多くの情報が埋め込まれていると、ユーザーは探したい情報を見つけづらくなります。また、文字のサイズも小さくなりがちなので視認性も悪くなるでしょう。
画像もできるだけ圧縮をかけデータサイズを小さくすることが重要です。データが思いフラッシュを利用するときは、ページの読み込み速度が低下していないか注意してください。
色のコントラストを意識する
UIを意識したデザインは、色のコントラストに注意することも大切です。コントラスト比が低ければ色の明るさが似通っており、ユーザーは各項目を認識しにくくなります。
正確な色を判別できない先天性色覚異常の人は、日本人男性の20人に1人(5%)に及ぶと言われます。そのため、コントラスト比が低いボタンやリンク、画像などを配置していた場合、「内容が読み取れない」と感じるユーザーもいるということです。
ボタンやリンクは目立たせる
ECサイトのなかには、ときおりボタンやリンクが分かりにくく設計されたものもあります。
たとえば、文字リンクを設定するときは、特定の単語や文を青文字にして下線を引くことが一般的です。一般的にも広く認識されているので、上記に近い形でリンク設定していないと、ユーザーはリンクだと把握しづらくなります。
リンクが分かりにくい設定の代表例として、ほかの文と同系色でマウスオーバーすることによって色が変わるケースが当てはまります。
また、ボタンやリンクが目立っていないとユーザーの回遊性が悪くなり、ECサイトにも悪影響を与えかねません。色相やコントラストのほか、スマホでもタップしやすいよう大きさにも注意してください。
D2Cブランドは「パクり」が横行している?
「多くのデザイナーにマネされるぐらい美しいデザイン」と賛美を受けるのは心地よいものの、ECサイトのデザインを丸パクりされるのは決して気持ち良いことではありません。
D2Cが注目されるほど、多くのメーカーや小売店が他社の事例を参考にし、自社デザインがパクられるリスクが高くなっています。
ローの共同創業者ザカリア・レイターノ氏は、ライバルのヒムズ(Hims)が新たにはじめた訪問診療サービスが、自社のサービスに驚くほど似ていることに気づいた。ポップアップの問診票を利用したユーザーフローはそっくりコピーされ、サンプルの写真まで同じだったのだ。
(中略)
実にひどい話だが、ローが巻き込まれたトラブルは、デジタルネイティブのスタートアップのあいだで他社を真似る行為が続いていることを示す格好の例だ。実際、こうした問題は増えており、企業や創業者は対応を迫られている。(引用元:DIGIDAY)
上記の例はECサイト構成とビジネスモデルをそのままパクられたケースですが、なかでもデザインは模倣されやすい要素といえるでしょう。デザインに限っては「パクり」と「参考」の違いがあいまいだからです。
そのため、ECサイトのデザインだけで他社と差別化するのは簡単ではありません。D2CではECサイト自体がブランディングの役割を果たすため、他社と似通ったサイトレイアウトやデザインは決してプラス要素にはならないのです。
では、ECサイトのデザインだけで他社との差別化が難しい場合、どのように独自性を生み出していけばよいのでしょうか。次の章で詳しくお伝えしていきます。
D2CのECサイトを真似されない秘訣
D2C向けのECサイトでは、サイト構成の仕組みに工夫を加えることで他社と大きく差別化することが可能です。ここでは、差別化要素として次の3つのポイントをお伝えしていきます。
- 独自コンテンツを拡充する
- ABOUT情報に力を入れる
- UXを意識したプロモーションを発信する
1.独自コンテンツを拡充する
独自コンテンツ、特に記事コンテンツを発信することで他社にはない独自性のあるD2Cサイトを構築できます。Web上にアップする文章は、ツールにより模倣・コピペが簡単に分かるという明確さが特徴です。
D2Cブランド「ファブリックトウキョウ(FABRIC TOKYO)」は、「はたら区」というオウンドメディアで面白い働き方をする人のインタビュー記事を紹介しています。インタビュー形式なので他社には真似しづらく、ファブリックトウキョウ独自のコンテンツといえるでしょう。
【はたら区】
また、自社で発信する情報がたくさん蓄積されるとより有利となります。大量の記事を用意するのは時間とお金が必要となるため、他社は容易に真似ることができません。
2.ABOUT情報に力を入れる
D2CにはABOUT情報が非常に重要で、ブランド背景やモノづくりへのこだわりなどを明確に打ち出すことで、ブランドに対するロイヤリティを高めることに繋がります。
しかし、D2Cブランドの真新しいコンセプトは、ときにビジネスモデルごと他社に模倣されてしまうリスクを抱えています。
D2Cブランドの「10YC」は、ABOUT情報でブランドコンセプトを紹介するほか、「工場紹介」という独自のコンテンツを発信しています。
サプライチェーンの内容を他社がそのまま模倣するのは困難です。10YCのようにABOUT情報に追加の要素を与えることで、自社独自のECサイトを構築するケースもあります。
【10YC 工場紹介ページ】
3.UXを意識したプロモーションを発信する
他社と差別化したD2Cサイトを構築したい場合は、UXを意識することが何よりも重要となります。
たとえば、UXを活用した施策として、SNSのユーザー参加型プロモーションが挙げられます。イベント期間中に「#ボディソープきれた」とツイートすると、1時間で配達員が製品を届ける企画を考案したダヴ(Dove)の事例が有名です。
こうした顧客とのコミュニケーションや関係性は、その企業だけが保有するものです。プロモーションの成功にはブランド価値やフォロワー数が必要になるため、他社が同じように真似することはできません。
【まとめ】独自性を意識してD2Cサイトのデザインを企画する
D2Cサイトのデザインには独自性が重要です。同じようなECサイトが別に存在すると、顧客ロイヤリティやブランド価値の低下にも影響してしまうでしょう。
UXを考慮したデザイニングは最低限必要ですが、以下の3つのポイントを意識してオリジナリティを加えていきましょう。
- 独自コンテンツを拡充する
- ABOUT情報に力を入れる
- UXを意識したプロモーションを発信する
商品だけではなく、サイト自体が特徴的なものになるとアクセス数の増加やコンバージョン率の向上にも繋がっていきます。